ガラスの小箱

悲哀の詩 作品No4

ガラスの小箱

大切なものを
いっぱい入れておいた
僕の大切なガラスの入れ物を

壊してしまったんだ


そのときの自分はどうかしていた

好きで壊したわけではない

でも
ガラスは粉々になって
その破片が

僕の心にいくつも刺さったのさ


青年に成り立ての秋だった


こうして僕の旅は始まるのだが


それは幾重にも連なる
連峰を越える辛い旅でもあった


ガラスの細かいものは
いまもそのまま
体の一部になっているので
別に違和感はない



どうやら
そうやって生きていくらしい
ひとは誰でも
そうやって歩くものらしい


僕のハッピーに
いつもどこか
かげりがあるのは
ガラスの破片が
心を抑制するから



いまでもどこか遠くから聞こえる



「修羅のみちはどこまでもノビテイル」
「この世の果てまでノビテイル」


イキテイル?
イキテイル?

ああ


「ネムルヨウニ
イキテイル」