初恋

恋愛詩 作品No4

初恋

かいがらを拾って

耳にあてると

遠い日の音がした


ずっと水平線のあたりを

ながめていたら

遠い日のあの日がみえた



僕はドキドキしながら
手の汗を制服の裾で拭いて
そっと確かめるように
君の手に触れてみた

君がうつむいて
みるみる顔が赤くなる


なんだかゴメンね


春の田園はのどかで
小川のせせらぎが聞こえていた


分かれ道までいくと
さよならをしないといけないので
僕と君は
ゆっくりゆっくり歩くんだ
いつもいつも毎日毎日


あたりにいっぱい咲いていた
レンゲ草の色が風に揺れて


そして
僕は君の長い髪の先に触れてみる


うつむいて、また赤くなって
そしてふっと笑って



君はもう天使なんじゃないか



モンシロチョウが不器用に
のんきにひらひら飛んでいて
霞がかった遙かむこうに
山の桜がぼんやり色づいていた




あのきもち、あの心。




かいがらを拾って

耳にあてると

遠い日の音がした


ずっと水平線のあたりを

ながめていたら

遠い日のあの日がみえた



by鎌倉にて