自然の詩 作品No4
軽井沢
軽井沢 失恋のようなさみしい底冷え 白い国道沿いに立って 碓氷峠をみつめる 吐息のような煙を吐いた トラックが1台 やっと故郷に帰る旅人のように それは哀愁の姿 軽井沢 氷にまみれた中から顔を出す雑草は 何にもすがらずに 耐えている 雪の幻想の国のように 垂れかかる木々 暖かい暖炉が待っているのかいないのか こっちを向いて猫が鳴く 軽井沢 その事はもう忘れてとあのひとは 私の胸のなかで ひとときうずくまる 私は雪を振り払い 凍える手を握る これからもっと北へ行くのだと 私は曇空に語るのだ