冬物語

四季の詩 作品No2

冬物語

色づいた葉が心を揺らす

風に剥がされるように落ちてゆく

残された葉は冬空の快晴とのコントラストを描く

僕はコートのポケットに手を入れ
そのはかない木立を眺めるのが好きだ

冬の恋物語が詰まったその情景は
「落葉の物語」を思い出し
「風」のメロディーが胸で踊る

グループ・サウンズもフォークも
みな冬のロマンスを奏でてくれた

冬にうまれた恋は純心で密やかに

想い出深くいつまでもいつまでも




やがて枝の不思議な曲線が
月夜に照らされ浮かぶ頃

僕の想いはさらに深く深く

それは影絵の木立が呼びかけるように
冬の景色は僕をヨーロッパへと
旅立たせた

アルプスおろしと呼ばれる
横から降りてくる雪片の向こうに映る
ベローナの街はとても寒いのだが
想い出のなかではあたたかい



月と木立
それは漆黒ではなく
ブルー・バックに浮き出た
静脈のように綺麗な曲線を描き
イエローの光に映えて美しく
僕の心を捕らえて離さない




こうして僕の冬物語は始まるのだが
あなたの胸に迫る冬物語を

そう
僕に聞かせて欲しいんだ